文・堺雅人 第22回

今回のおはなしは、「本物」。
名古屋公演を見終わった直後にこの文章をコンビニで立ち読みし、思わず泣きそうになりました。

じつをいえば「ホンモノではないかもしれない」という不安はいまでもすこしのこっていて、そんなときには、まわりにいる本物の俳優さんや、本物の劇場や、たのしんでくれている本物のお客さんをみて安心するのだ。「これだけホンモノにかこまれているのだから僕もホンモノなのだろう」と、あくまでも帰納法的に。

あくまでもこのひとは、「周りがいるからこそ自分は俳優としていられるんだ」ってことを自覚していて、それに忠実だからこそ、あんなに誠実な演技ができるんだろうなぁ、と思う。
そんな・・・って思ったけど、そういう風に自分をいつも自照しながら演じて(仕事して)いるから、堺さんはすてきなんだよなぁ。
堺さんのそういうところが私は大好きで、もうどうしようもなく惹かれていて、憧れつづけているのです。
ということを伝えたくてああいう(先日の日記参照)行動にでてしまったわけですね〜、やーおはずかしや。
しかしですね、「自分が本物ではないという後ろめたさ」っていうことばにはぐっとくるなぁ。切ない。
そういうことを考えるのはみんないっしょなんだな。あの堺さんでも。
私はそういうことにときどき耐え切れなくなる。いまでも。
じっさい、耐え切れなくなって、逃げだしたこともある。
だから自分に「ホンモノだ」っていいきかせられるひとはすごいなあ、と思う。
ほんとうのホンモノになんてなれなくてもいいから、「ホンモノだ」って思えるチカラを、自分を信じる強さを、もっと持ちたいと思う。


パルコ劇場の「へぇ〜」なトリビアには感動した。
確かにあそこの背もたれは、けっこうかたくて、しかし背中をつけるとい〜いかんじでぴったりと背中があたっていた。
堺さんをみる私、も、劇場にまもられていたのだなぁ!いい話。
まだ一回行っただけだけど、とても好きな劇場です。


今回の写真、本番中の舞台裏が見られてうれしい。
支配人のときと、マネージャーのとき、顔がまるで別人で、びっくり。
まあ支配人のほうは「オールバックヅラ」というマジックも効いているのだが・・・
支配人は、けっこう余裕たっぷり、落ち着きのある顔。
マネージャーは、やはりおどおどしたかんじで、あわてているかんじが。
すごいな、このひと!
とますます惚れちゃいましたぁ♡